Web-TAX-TVで源泉徴収事務の勉強のため「令和5年分年末調整のしかた」という動画を見ました。この記事では、この動画で勉強したことについてまとめていきたいと思います。
www.nta.go.jp
国税庁のホームページに「年末調整がよくわかるページ」という特集ページがある
www.nta.go.jp
そして、「「年末調整がよくわかるページ」の利用方法」という動画もあるので見てみました。
youtu.be
「年末調整がよくわかるページ」には、Q&Aのほかに「チャットボットに相談する」コーナーもあり、個別の質問に答えてもらえるのは便利そうだなと思いました。
「年末調整がよくわかるページ」の年末調整計算シート
そして、この使い方の動画もありました。
youtu.be
「年末調整計算シート」とは、
・エクセルファイルをダウンロード
・従業員の控除対象扶養親族などを入力すると扶養控除額が自動計算される
・本年中の給与を入力すると給与所得控除後の給与等の金額が表示される
・各種控除金額を入力すると「年調年税額」を計算することができる
令和5年から適用される改正事項
「非居住者である親族についての扶養控除適用要件の見直し」
・令和4年12月までは、「居住者・非居住者にかかわらず16歳以上の扶養親族」が扶養控除の対象でした。
・令和5年1月からは、「非居住者である場合30歳以上70歳未満の留学生・障害者・生活費、教育費の支払いを年間38万円以上受けている扶養親族」は、令和5年分扶養控除等申告書提出の時、または令和5年分年末調整の時までに、「親族関係書類」、「送金関係書類」、「留学ビザ等書類」、「38万円送金書類」が必要。
年末調整のおおまかな流れ
・年末調整とは
源泉徴収した税額の合計額と年税額を一致させる精算の手続き
・年末調整の対象となる人
原則「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人
※給与の収入が2,000万円を超える人は対象外
- 各種控除の確認
- 年税額の計算
- 過不足額の精算
年末調整の手順その1.各種控除額の確認
年末調整の手続〜①各種控除額の確認〜 - YouTube
・扶養控除等申告書
「扶養控除等(異動)申告書」の記載のしかた - YouTube
・基礎控除申告書
・配偶者控除等申告書
・所得金額調整控除申告書
「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の記載のしかた - YouTube
・保険料控除申告書
「保険料控除申告書」の記載のしかた - YouTube
・住宅借入金等特別控除申告書
「住宅借入金等特別控除申告書」の記載のしかた - YouTube
各種控除額の確認が終わったら、各申告書から※源泉徴収簿に転記する。
romsearch.officestation.jp
年末調整の手順その2.年税額の計算
(給与総額-給与所得控除額-所得金額調整控除額-扶養控除等の所得控除額-住宅借入金特別控除額)×102.1(復興特別所得税額)=年調年税額
年末調整の手順その3.
毎月の徴収税額の合計額と年調年税額とを比べて可不足額を求め精算
具体例
年末調整の手続〜②年税額の計算・③過不足額の精算〜 - YouTube
例えば、Aさんの場合、
・源泉徴収簿を見て、年間の給与と賞与を合わせた金額は897万円。
・源泉徴収税額は20万700円。
・所得金額調整控除額({給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=控除額※)は、4万7千円。
・給与から差し引かれた社会保険料等は102万6102円。
※未払いとなっているが、年内の支給が確定している給与は計算に入れる。また、年の途中で再就職した人の前の勤務先の給与や、源泉徴収額、社会保険料等も集計する
まず、給与所得控除後の給与等の金額の計算をします。
国税庁のHPの「年末調整がよくわかるページ」にある「詳しい説明(パンフレット)」→「年末調整のしかた」の中にある
「令和5年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」↓
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2023/pdf/17.pdf
にあてはめて給与所得控除後の給与等の金額を求める。
所得金額調整控除額がある場合は、給与所得控除後の金額から差し引く。
Aさんの場合、給与等の総額が897万円なので、「令和5年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」にあてはめると、
897万-195万(給与所得控除)=702万
702万-4万7千(所得金額調整控除額)=697万3千←(給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後))
次に、所得控除額の合計額の計算。源泉徴収簿の年末調整欄にある、下の表の赤枠12番から19番までを記入し、合計する。
例えばAさんが、所得控除額の合計額が427万6102円(千円以下切捨てで427万円)だった場合。
差引所得課税給与所得金額は、
697万3千(給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後))-427万6102(所得控除額の合計額)=269万6千(千円以下切捨て)←(差引所得課税給与所得金額)
次に、国税庁のHPの「年末調整がよくわかるページ」にある「詳しい説明(パンフレット)」→「年末調整のしかた」の中にある
「令和5年分の年末調整のための算出所得税額の速算表」↓
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2023/pdf/18.pdf
269万6千(差引所得課税給与所得金額)×10%-97,500円(控除額)=17万2,100円←(算出所得税額)
住宅借入金等特別控除額がある場合、先ほどの算出所得税額から差し引く。
17万2,100円(算出所得税額)-126,500円(住宅借入金等特別控除額)=45,600円←(年調所得税額)
45,600円(年調所得税額)×102.1%(復興特別所得税)=46,500円(百円未満切捨)←(年調年税額)
最後に、毎月の徴収税額の合計額と年調年税額とを比べて可不足額を求め精算する。
200,700円(源泉徴収税額)-46,500円(年調年税額)=154,200円(還付金)
源泉調整額 > 年調年税額 は、差額を還付する。
源泉調整額 < 年調年税額 は、不足額を徴収する。
まとめ
今回は、Web-TAX-TVの「令和5年分年末調整のしかた」という動画を見て、源泉徴収事務がどういうものかの概要がわかりました。まだまだ細かい要件や、計算などがあると思いますが、大まかにどういう風に年末調整で所得税の年税額を計算し、その年の月々の源泉徴収額との差額を精算するのかがわかりました。実際の業務では専用ソフトに沿って数字を入力し、計算していくようなのですが、初めての年末調整実務をするにあたってこの動画はとても有益だったと思いました。